工芸ガイド

ペルシア工芸を、きちんと知る

私たちが手がけ、修復する仕事を支える技法の常設ガイドです。それぞれの工芸とは何か、どう作られ、どこから来たのか、そして手仕事と模造をどう見分けるか。

素材と技法

ペルシアの工芸には多様な素材と技法があります。成形、彫金、象嵌、エナメルは別の工程です。比較する際は各作品の素材、寸法、状態を確認してください。

技法を見分ける

ガラムザニーは金属の表面を加工し、ミーナーカーリーはガラス質のエナメルを施し、ハータムは小さな素材を組み合わせてモザイク状の象嵌を作ります。一つの器に複数の技法が使われることもあります。素地と装飾の各層を分けて確認しましょう。

ハータム:ペルシャの寄木細工、そのすべて
ハータム(ハータム・カーリー)は、木、真鍮、骨の細い棒を束ねて断面が星形や多角形になるように組み上げ、それを薄くスライスして木製の下地に貼り付けるペルシャの伝統的な寄木細工です。表面に見える無数の星は、描かれたものでも彫られたものでもなく、すべて束ねられた素材の「断面」です。
ミーナ・カーリー:ペルシャの金属七宝
ミーナ・カーリー(Mina kari)は、銅などの金属に粉末状のガラス釉薬を焼き付けるペルシャの伝統工芸です。約700〜850℃の窯で下地を数回にわたって焼き固めた後、鉱物顔料で精緻な絵付けを施し、再び焼成します。完成した青色は塗料ではなくガラス質であるため、歳月を経ても色褪せることがありません。
Qalamzani:ペルシャの金属彫金とチェイシング
Qalamzani(カラムザニ)は、成形されたタガネ(カラム)をハンマーで叩き、金属の表面を浮き上がらせたり、沈ませたり、質感を加えたりするペルシャの装飾技法です。これは削り取る彫刻ではなく、金属を移動させる「チェイシング(追い出し)」や「レポゼ(裏出し)」の技法であり、表面にはレリーフが、裏面にはその陰影が現れるのが特徴です。
ペルシャ工芸品:徹底ガイド
ペルシャ工芸とは、工房や家庭で今も手作業で作られているイランの伝統工芸の総称です。金属工芸の qalamzani(彫金)や mina kari(エナメル)、手織り絨毯、キリム、khatam(寄木細工)、タイル細工、トルコ石細工、termeh(織物)、木版捺染の ghalamkar、漆塗り、陶器などが含まれます。これらの伝統の多くは、公的な教育機関ではなく、現在も徒弟制度を通じて継承されています。

細部を観察する

形、表面、接合部、縁、底を確認しましょう。光や角度で損傷が見えにくくなることがあります。詳細写真と修復情報を求めてください。伝統的な文様だけでは年代は分かりません。

問い合わせを準備する

作品と質問を明示してください。注文制作では主題、おおよその大きさ、設置場所、素材の希望が役立ちます。古美術品については状態と来歴の資料を確認しましょう。

清掃や展示の前に

種類の分からない仕上げを磨いたり、エナメル、象嵌、古色に家庭用洗剤を使ったりしないでください。部品の緩み、ひび、装飾の浮きは、清掃前に状態の確認が必要です。写真とともに状態記録や修復履歴を保管しましょう。